こんにちは。レバレジーズ株式会社の西口です。自社内でTwilioを用いたクラウドCTIの内製と保守を行っています。
元々は普通のWebエンジニアの私ですが、Twilioを使って自社のコンタクトセンターをオンプレミスからクラウドにフルリニューアルしました。席数500席以上、通話時間は数万時間超え、複数部署をまたぐ構成の大規模コンタクトセンターをどうやってクラウド化したかについては、事例紹介ページに詳細がありますので、ご参照ください。
その中で得た知見や技術ノウハウ、実際に使ってみないとわからない苦労話などを交えて、シリーズ物としてコンタクトセンターをオンプレミスからクラウドベースのTwilioに置き換えるまでに行うべきことや考えるべきこと、またリプレースのメリットデメリットについて載せていきます。
オンプレミスコンタクトセンターの課題
コンタクトセンターはもちろん、一般的な企業でも電話機とインターネットをかけ合わせたCTI(Computer Telephony Integration)を導入している企業は多数あります。
オンプレミスで電話回線の交換機であるPBXやサーバーなどを用意しているところが多いです。このようなオンプレミス型だと下記のような課題がよく挙がります。
改修がしづらい
コンタクトセンターではIVRという機能があります。宅配便の再配達を登録する機能がIVRです。
オンプレミス型だとIVRを追加で導入したり、IVRのアナウンスを変更したりなどはなかなか気軽にはできません。というのは、そのような改修でも専任の業者に改修の委託が必要なことがほとんどです。
その分、堅牢であり信頼性も高いのですが、すばやくPDCAを回し、業務改善をしたい会社にとっては改修のしづらさは課題です。
席替えやオフィス移転が大変
PCやサブディスプレイ、書類などある中、電話機も持っていくというのはなかなか大変です。持っていく必要がないという方もいるかもしれませんが、その場合、その他の誰かが膨大な数の電話機の設定をしていたりするものです。特に配線はPCとサブディスプレイを接続した後、さらに電話機に電源をつないで電話線をつないでとやってるとそれだけで半日くらいは終わってしまいそうですね。会社の成長に合わせて、席替えやオフィス移転は頻繁に発生しますが、その都度この作業が発生してしまいます。
電話機が意外と大きい
デスクをスッキリさせたくても、PC、サブディスプレイ、書類や本などある中、電話機が意外と場所を取っていたりしませんか?
これからの時期、新卒入社に合わせて部署や席の調整だけでも大変なのに電話機の購入や設定、さらに各支社への配送も並行で考えなければなりません。
特に電話機は意外と大きくて、配送するのがけっこうな手間です。配送は人手が必要なので大きな会社であればあるほどコストが肥大化していきます。
クラウドCTIならこれらの課題を解決できます
オンプレミスで起きる先のような課題も、実はクラウドCTIなら解決できます。順に解決策を見てみましょう。
Webベースなので自社改修ができる
クラウドCTIは一般的なWebサイト保守などの経験があれば改修が自社内でできるようになります。特にWebベースだと、WebRTCのような最新の技術トレンドにも携われることになるので、社内での改修は金銭的にもエンジニアの経験的にも得るものがあります。
デスク周りがスッキリする
PCで電話ができるので、電話機が不要です。場所を取らなくなり、配送の一手間をなくすことができます。ごちゃごちゃしがちな電話機の電源ケーブルや電話線といった配線もなくなりスッキリします。
有線LANとヘッドセットだけですぐに電話ができる
PCに有線LANとヘッドセットをつなぐだけで電話ができます。設定も最初にしておけば、どこに行ってもCTI連携した通話ができます。これらのスピード感はクラウドならではです。
クラウドコンタクトセンターの候補は何か?
クラウドの良い点が分かっていただけたかと思いますが、候補としては何があるでしょうか?
一般的によく挙げられるのは、このブログのテーマであるTwilioを筆頭に、それ以外にも最近ではAmazon Connectが参入し、話題になりました。
今回はTwilioを用いたクラウドCTIを進める方針で考えていきます。
Twilioの不安点
今まで使っていたオンプレミスの安心感から、Twilioでも大丈夫かといった不安はあると思います。ひとつずつ、不安点とその対策を見ていきましょう。
Twilioが動いているサーバーは止まったりしないのか?
TwilioはAWSの7つのリージョンにまたがる冗長構成を組んでおり非常に安定しています。同時に7つのリージョンで問題が起きたりしなければ、止まるというようなことは発生しません。同時に止まるというのは稀なケースですし、オンプレミスでも止まるときは止まります。冗長構成を自社で組み、正しく動くのかを心配するよりは心強い仕組みですね。
電話に詳しいエンジニアがいないけど、大丈夫?
この記事を書いている私も元々は普通のWebエンジニアでした。ですが、ほぼ独力で内製を行っています。
なぜ内製できたかというと、Twilio ClientというJavaScriptでできたライブラリが提供されているからです。フロントエンドはJavaScriptという慣れ親しんだ言語で提供されており、バックエンドのAPIもPHPやRuby、Node.jsなど多くの言語がサポートされています。そのため、電話に詳しくなくても実装や改修が行えます。
とはいえ、実際にやってみたらよくわからない部分が出てきたり、要件が実現可能か悩むことがあるでしょう。これらの不安解消のために、Twilioエバンジェリストによるハンズオンの開催や、Twilio相談会が頻繁に行われています。この場での相談で、ほとんどの悩みは解決できます。
私が初めてTwilioの実装をしたときはまだハンズオンがなかったので、今から始める人がうらやましいくらいです。
ハンズオン
https://twiliomeetup.doorkeeper.jp/
Twilio相談会
https://twilio.kddi-web.com/consultation/
クラウドコンタクトセンターだとこんなこともできてしまう
LINE通話とTwilioの連携
【LINE to Callを使ってCXを向上させよう】https://twilio.kddi-web.com/magazine/4346/
LINEは日本人口の約7割がインストールしている社会的インフラになりつつあります。LINE連携でCX改善や通話料金の節約が可能です。さらにCTI連携を行うことで、LINE通話も顧客情報を参考にしながら通話ができ、ログとして残すこともできます。
Twilio Studioで非エンジニアもコンタクトセンター改修に携われる
【Twilio Studio 正式リリースのご案内】https://twilio.kddi-web.com/magazine/1866/
Twilio Studioは顧客からの通話をどのようなフローで対応するかを、ビジュアル化したエディタで構築できるプロダクトです。
ドラッグアンドドロップで対応フローの変更や、アナウンス文言を入力することができ、直感的に操作することができます。Studioによって、エンジニアはより開発に集中できるようになり、非エンジニアでもコンタクトセンターの改修に直接携わることができる革新的な機能です。
Twilio Flexで本格的なコンタクトセンターのアプリケーションプラットフォームが提供されている
【Twilio Flex – プログラマブルなコンタクトセンタープラットフォーム】https://twilio.kddi-web.com/magazine/1353/
Flexはクラウドコンタクトセンターのアプリケーションプラットフォームです。Flexを使うことで、Twilioの様々なプロダクトと簡単に連携を行うことができます。エンジニアであれば、ソフトウェアを作るにあたり、フレームワークを利用することが多いと思いますが、利用する大きな理由は車輪の再発明を行わず、自社ドメインが解決したい問題の解決に注力したいからだと思います。
その点、コミュニケーションプラットフォームを目指すTwilio社が提供しているコンタクトセンターのフレームワークです。このフレームワークを利用することで、エンジニアは本来注力するべき問題解決に全力を尽くすことができます。
まとめ
今回はTwilioを用いたクラウドコンタクトセンターの特長をまとめました。
とはいえ、いきなり全部置き換えるのは怖いと思う気持ちもよくわかります。そこで、次回はスモールスタートで小さいクラウドコンタクトセンターを試しに導入するためのノウハウをまとめます。
次回もお楽しみに。

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