Smart Communication Award 2018 レポート Vol.1

 

先日、JPタワー&カンファレンス(KITTE)でSmart Communication Award 2018が開催されました!(以下、SCA)
SCAはもともとクラウドコミュニケーションAPI「Twilio」を活用した新しいサービスを募集するイベントでしたが、Twilio来日5年目となる今年はコンテンツがパワーアップ!例年にはなかったキーノートスピーチやセッション、課題を抱えた企業とシステム開発会社とのマッチングを図る公開アイデアソンが追加されました。

 

記事はイベントのコンテンツ毎に分かれています。

 

▽各記事へのショートカットはこちら▽

 

Smart Communication Award 2018 レポート Vol.2 - テクニカルセッション https://twilio.kddi-web.com/magazine/2478/
Smart Communication Award 2018 レポート Vol.3 - ビジネスセッション https://twilio.kddi-web.com/magazine/2589/
Smart Communication Award 2018 レポート Vol.5 - DOer JAPAN https://twilio.kddi-web.com/magazine/2599/
 

 

 

イベント当日はあいにくの雨でしたが、それでもご来場いただきました皆さま、お忙しい中ご参加いただき本当にありがとうございました。今回は、残念ながらご来場いただけなかった方や、途中でやむを得ず帰られた方のためにイベント当日の様子をレポートしたいと思います。

 

「Twilioの考える顧客エンゲージメント」 Twilio Inc. George Hu

 

SCA2018、最初のコンテンツはこの日のために来日したTwilio Inc. COOのGeorge Huによるキーノートスピーチでした。
スピーチ冒頭で、「さまざまな業界の人と話をする機会があるが、皆、口を揃えて『自分たちの業界には革新的なイノベーターや巨大企業が多く、危機感を感じる』と語っている」とGeorge。顧客は少しでも不満に思うことがあればすぐに別サービスに移ってしまいます。事実、ある調査会社の発表によれば、54%の人が過去12か月以内に利用中のサービスを乗り換えた経験がある、というデータが出ているそう。このことから、Georgeは「次々と新しいサービスがマーケットに参入してくるなか、これまで以上に顧客満足度の向上が重要になってくるだろう」と語ります。

 

では、どうすれば顧客満足度を向上させられるのでしょうか?
彼は、重要な施策のひとつとして「オムニチャネル化」を挙げていました。顧客とエンゲージメントを築こうにも、コンタクトが取れなければ意味がない、というのです。
そして、あるロンドンのホテルに宿泊した際の実体験を語りだしました。彼がチェックインを終えると、チェックイン担当だったホテルマンからテキストメッセージが届いたそう。そのホテルでは、チェックイン後に担当者からコミュニケーションをとることで、滞在中の満足度について情報収集している、とのことでした。
また別の例として、ドラマキャンペーンに使われたIVRシステムについて言及。電話という誰でも使えるチャネルを使用し、音声認識を用いてドラマのキャラクターと会話を楽しむことによって、視聴者とのエンゲージメントを高めるのに成功した、と説明していました。
さらに、ING銀行がビデオ通話によって顧客の手間を省くことができるようになった、という例を紹介。オランダの銀行では、口座を開設するにあたり銀行と顧客が対面で会話しなければならないと法律で定められていますが、ING銀行はビデオ通話を用いてこの課題を解決。顧客はわざわざ銀行に足を運ぶことなく口座を開設することが可能になり、顧客満足度が向上したのです。

 

 

 

 

「Twilioの考える顧客エンゲージメントは、統合されたカスタマージャーニーがあってこそ」と語ったGeorge。
統合されたカスタマージャーニーとは、最初の顧客接点がコンタクトセンターなのか営業なのかBotなのかに関わらず、顧客が同じ体験ができるように設計されているということで、様々なコミュニケーションチャネルを提供するTwilioはこれを実現させることができるのです。

ここで、彼は「RINSE」という急成長中のクリーニングサービスを紹介。このスタートアップ企業を成功に導いたのは最新の洗濯技術ではなく、AIを活用した「顧客体験」である、というのです。
RINSEでは、集荷ドライバーの位置情報をもとに顧客リストに自動的にメッセージを送付する仕組みになっています。「22時に集荷に伺うことができます。クリーニングに出したいものがある場合は、“YES”と返信してください。」このようなメッセージを受け取ったユーザーは、Botとのやり取りだけで洋服をクリーニングに出すことが可能。また、Botでは対処できない細かな調整が発生した場合はコールセンターにつながるようになっていますが、もちろんここまでのユーザーとBotのやり取りはすべてオペレーターに引き継がれます。
このように、顧客とのシームレスなコミュニケーションで顧客満足度向上を実現しているRINSE。顧客体験というポイントで差別化を図ることで、ビジネスを成功に導いたようです。

 

 

 

 

そして最後に、これからの時代はコンタクトセンターの需要が今まで以上に増すだろう、との見解を述べたGeorge。
Twilioは「アプリケーションプラットフォーム」としてまだまだ成長していくことができる、とも語っていました。90%以上の企業が未だにオンプレの仕組みを使っているなか、キャリア、ハードウェア、ソフトウェアを網羅しているTwilioなら、すべてのレイヤーでカスタマイズすることができ、柔軟性がある、というのが大きな理由です。コンタクトセンター業界はこれまでもっとも時間とコストがかかる業界とされてきましたが、Twilioなら変革をもたらすことができる、とスピーチを締めくくりました。

 

世界中でどのようにカスタマーエンゲージメントが変わっているのか、そして先進企業はどのような取り組みを行っているのかを紹介したGeorge。そのなかでTwilioは今後どこに向かっていくのか?というビジョンも語ってくれ、SCAのオープニングにぴったりなスピーチでした!

 

 

「ファンベースによる顧客エンゲージメント」 (株)ツナグ 佐藤尚之氏

続いてご登壇いただいたのは、著書「ファンベース」で有名な“さとなお”さんこと佐藤尚之氏。
ファンベースとは、「ファンを大切にし、ファンをベースにして中長期的に売り上げや価値を上げていく」という佐藤氏が提唱する考え方です。これからの時代、なぜファンベースが大切なのか?3つの理由をお話いただきました。

 

 

 

 

理由① ファンは売り上げの大半を支え、伸ばしてくれるから
どの業界にも当てはまる、パレートの法則というものがあります。これは上位20%の顧客が売上全体の80%を支えている、という説ですが、「これまでに関わったさまざまな企業にヒアリングした結果と概ね一致している」という佐藤氏。また、ここで重要なのはファンの数を増やすことではなく、ファンのライフタイムバリューをアップし、ファンの人たちにもっと商品を買ってもらう、もっとサービスを利用してもらうことであると語られていました。

 

理由② 時代的、社会的にファンの重要度が増しているから
人口急減、ウルトラ高齢社会の到来、若者の物欲減少と独身者の増加。物理的に人口が減り、新しいものを購入する層が減っていく今の時代、新規ファンの獲得を目指すのではなく、今いるファンを大切にする方が効率的であると佐藤氏は述べます。
また、超成熟市場ではどんなにイノベーティブな商品・サービスでも、追随され、研究され、安価化され、すぐに陳腐化してしまいます。差別化が難しくなるなかで機能価値を売り出してもすぐに比較され、消費者は離れていってしまう。そこで必要なのが情緒価値です。貴重な顧客接点でファンになってもらえれば、そのファンたちは、ほかに機能性が上回る商品・サービスが市場に出てきてもそちらに流れてしまうことがありません。
さらに、現代は「情報“砂の一粒”時代」である、と主張する佐藤氏。これは、世の中にある情報量が今や世界中の砂浜の砂の数よりも多いというデータに基づき、佐藤氏が作った造語だそうです。つまり、情報で溢れかえっている現代においてはどんなに露出を増やしても砂粒を増やすようなものであり、せっかく発信した情報も消費者には届かない。ましてやインターネットをあまり使わない層というのも少なくなく、同様に情報が届きにくい状況であるとのことでした。しかし、そんななかでも発信したものを見つけてくれるのは、やはりファンなのです。

 

③ファンが新規顧客を増やしてくれるから
ここまでで情報の届きにくさを説明した佐藤氏ですが、無視されにくいアプローチ方法がひとつあるといいます。それが「友人からのススメ」です。エデルマンの行った調査によると、インフルエンサーや有名人の口コミより家族や友人からの情報が信頼されている、という結果が出ているそう。影響力があるといわれている有名人よりも、価値観や金銭感覚が近い家族、友人から勧められた方が購入の可能性が高く、さらには新規顧客になるだけでなくいきなりファンになってくれる可能性がある、とのことでした。

 

ここまでファンの重要性について語ってきた佐藤氏ですが、注意すべきポイントについてもお話がありました。
それは「全員をファンにしよう」というのは間違いである、ということです。ファンとは、企業やブランド、商品が大切にする価値を支持してくれる少数を指します。ファンを増やすのではなく、今いるファンを大切にし続けることを忘れてはいけません。

では、どうすればファンからの支持を受け続けられるのか?最後に、支持されるための三か条をご紹介いただきました。

一、 その価値自体をアップさせること。=お客さんの声に耳を傾け、共感を得る
二、 その価値を、ほかに代えがたいものにすること。=お客さんにとっての唯一無二の存在になって、愛着を持ってもらう
三、 その価値の提供元の評価・評判をアップさせること。=誠実さを忘れず、お客さんに信頼してもらう

 

 

 

 

この共感、愛着、信頼がファンからの支持を受け続けるのに大切な要素である、と佐藤氏。
そして、「コールセンターは特に大切な顧客接点であり、ファンベースの中心を担う」という言葉で締めくくっていただき、キーノートスピーチは終了。40分という短い時間ではありましたが、ファンベースのエッセンスがぎゅっと詰まったキーノートスピーチとなりました。ご登壇、ありがとうございました!

 

 

Smart Communication Award 2018レポート Vol.2に続く…

 

 

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